画像処理のフラットフレーム その2

彗星会議での雑談の中から

・都度フラット撮らなくても測光できる?→恒星なら何とかなるけど彗星は全光度測るからフラット無しじゃ無理

・観賞用の写真撮影も後で必要になった時のためにフラット撮っておくべき?→後で必要になった事例など無い。今は全天掃天してるから過去データに困らない。何より鑑賞写真撮ってる人はサイエンスに興味ないからフラットの重要性を説いても無駄。

・光害フラットとかフラットフレームと被り補正をまぜこぜにしたものをフラットと名付けるのに違和感がある。初心者が混乱しそう。→鑑賞写真の連中に何を言っても無駄。

なかなか衝撃的な雑談でした。観測してる人と鑑賞写真とっている人の間には深い溝ができてしまっているようです。以前はそんなこと無かったような気がしているのは世間知らずだからでしょうか。サイエンスやりたい人はもっといるはずだと信じています。もう少し発信していくのが大事なのではないかなと思ったしだい。

画像処理のフラットフレーム

フラットフレームをご存知ですか。天体画像を処理するときに使用する補助的な写真のひとつです。

天体写真は普通のスナップ写真と違い極端な露出不足でノイズまみれの写真です。撮影しただけだと「なんだこりゃ」というような画像です。ですので撮影後にいろいろ補正をしてあげてなんとか見られる写真に仕上げるわけです。

天体写真を仕上げるにはまず素材としての写真を準備する「一次処理」と好みの画像に仕上げる「レタッチ」の工程を行います。その一次処理で使用するのがダークフレームやフラットフレームなわけです。ダークフレームというのは天体写真を撮影した設定のまま、レンズに蓋をして真っ黒な写真を撮影したものです。蓋をするので当然何も写らないわけですが、実はサーマルノイズやホットピクセルなどカメラの中で発生するものが写っているのです。撮影した天体写真からこのダークフレームを引き算してあげるとノイズやホットピクセルが消えてなくなるというわけです。この工程を「ダークを引く」と言ったりします。

一次処理のもうひとつの工程が「フラット割り」と呼ばれるものです。これは天体写真を撮影したセットでレンズの前に白い均一なものを置いて真っ白な画像を撮影したフラットフレームで割り算をします。そうするとレンズの周辺減光や写りこんだゴミの影などを均一化することができます。これは撮影した光学系の収差やゴミを取り去る処理なので星などが写っていては困るわけです。ですからレンズの前にEL発光板などを置いて撮影しておくのですが、最近アストロアーツのサイトにセルフフラット補正なる画像処理方法が掲載されました。

このセルフフラット補正というのは撮影した天体写真に画像処理を施して擬似フラットフレームを作ってしまおうというものです。別途フラットフレームを撮影しておかなくていいので楽といえば楽ですね。この処理は撮影した画像を使用して星以外の部分で擬似フラットを作成するものです。ですから被り補正も含まれてしまうわけです。この処理は観賞用の写真を作成するためのテクニックですよね。本来フラット割りは観測用に撮影した画像を測定するための一次処理なのですが、最近は被り補正などを含めて光害フラットなどというわけの分からない用語を作り出す人がいて混乱しているようにみえます。アストロアーツのセルフフラットも鑑賞写真用のフラットもどきでしょう。観測(測光)用途にも使えるような設定ができるのかなあ。