一番遠い星はどれですか?
観望会でよく受ける質問のひとつに星までの距離を問うものがあります。
昔の人は星は天球という空にある球に張り付いていると考えていたこともあるそうです。
星までの距離はとても遠いのでどのくらいの距離があるのか日常生活からの類推では分かりませんね。
そこでこの質問が飛んでくるわけです。
一番遠い星というのは定義によって変わってくると思います。
今肉眼で見ている星の中で一番遠い星を聞いているのだとしたら難問ですね。
空の状態によってどのくらい暗い星まで見えているのかが違いますし、見る人の眼の状態によっても変わってきます。
遠い星は一般に暗い星ですからその時点で見えている一番遠い星というのは全ての星の距離が頭に入っていない限り答えるのは難しいでしょう。
ですから一般的な話をしますね。
まず一等星の距離を見てみましょう。
| 名前 | 等級 | 星座 | 距離(光年) |
| アルファ・ケンタウリ | -0.3 | ケンタウルス座 | 4.3 |
| シリウス | -1.5 | おおいぬ座 | 8.6 |
| プロキオン | +0.4 | こいぬ座 | 11 |
| アルタイル | +0.8 | わし座 | 17 |
| フォーマルハウト | +1.2 | みなみのうお座 | 25 |
| ベガ | +0.0 | こと座 | 25 |
| ポルックス | +1.1 | ふたご座 | 34 |
| アークトゥルス | -0.3 | うしかい座 | 37 |
| カペラ | -0.5 | ぎょしゃ座 | 43 |
| アルデバラン | +0.8 | おうし座 | 67 |
| レグルス | +1.3 | しし座 | 79 |
| アケルナル | +0.5 | エリダヌス座 | 140 |
| スピカ | +1.0(分光連星) | おとめ座 | 250 |
| ベルックス | +1.3 | みなみじゅうじ座 | 279 |
| カノープス | -0.7 | りゅうこつ座 | 309 |
| アクルックス | +0.8 | みなみじゅうじ座 | 324 |
| ハダル | +0.6 | ケンタウルス座 | 392 |
| ベテルギウス | +0.4(変光星) | オリオン座 | 497 |
| アンタレス | +1.0(変光星) | さそり座 | 553 |
| リゲル | +0.1 | オリオン座 | 863 |
| デネブ | +1.3 | はくちょう座 | 1424 |
一等星は比較的近い距離にあるのが分かりますね。
近いといっても光の速さ(秒速30万km)で何年も何百年もかかる距離ですから近いという感覚ではないかもしれません。
でもビッグバンで宇宙が生まれてから138億年と考えられていますからわれわれがとてつもない高性能な望遠鏡を手に入れたら光が138億年かけてやってきたところが見えるでしょう。
逆に考えれば138億光年より先はどんなにがんぱっても見ることができないわけです。
そのような距離に比べたら一等星はわれわれからとても近いところにある星たちだということができます。
星までの距離が2倍になると星の見かけの明るさは1/4になります。
これは同じ明るさの星があったとして距離が2倍遠い星は近い星より1.5等級暗いことになります。
ポグソンの式で計算できますがそれはまたの機会にしましょう。
ですから明るく見える星は近い距離にあるものが多いのです。
表の中にスピカは分光連星であると書きました。
分光連星というのは望遠鏡で見てもスピカはひとつの星にしか見えないのですが、分光器という測定器でスピカの光を測ると二つの星が互いに周り合っている星だということが分かったのです。
ですからスピカの明るさは二つの星の光を合わせた光だということができます。
もっともスピカのもうひとつの星はとても暗い星なのでスピカが連星でなくても一等星であることには変わりは無いのですけどね。
スピカの例でわかるように星が合わさっていれば明るく見えます。
ここで天の川を考えてみましょう。
天の川はわれわれの銀河系の星々が集まって見えているのでひとつひとつの星は暗くても見えるわけです。
冬の天の川は銀河系の中心方向と反対側のペルセウス腕という渦巻きの腕のような星の集まりです。
太陽とペルセウス腕の距離は6500光年ほどらしいので冬の銀河が肉眼で見えるときは少なくとも6500光年くらい遠くの星が見えているといってもいいでしょう。
もちろん肉眼では天の川の星々をひとつひとつ見分けることはできないのですけど。
アンドロメダ銀河というわれわれの銀河系のお隣の銀河があります。
4.3等級なのでよほど空の明るい都心部意外では肉眼で見えるかもしれません。
アンドロメダ銀河までの距離は250万光年ほどですから250万光年先の星の光が肉眼で見えることになります。
さんかく座にあるM33という銀河は300万光年離れています。
人によっては本当に夜空の暗いところに行くとM33が見えるという人がいます。
私は肉眼で見えたことが無いので分かりませんが、M33が見える人は肉眼で見える最遠の星は300万光年先のM33だといってもいいのかもしれません。
望遠鏡を使うと肉眼よりも暗い星を見ることができます。
暗い星を見ることができるということはより遠くまで見ることができるということになります。
ハワイにある8.2mの鏡をもつすばる望遠鏡での研究成果では130億光年くらい遠くの銀河の写真が撮れたということです。
ビッグバンで宇宙が始まって以来138億年が経っていると考えられていますので、光で見える限りのかなり遠くが見えてきたことになります。
すばる望遠鏡は人が覗いて見ることができませんので写真での話ですが、望遠鏡を使うと肉眼で見るよりも遠くの星が見えることは確かです。
肉眼で見える一番遠い星はアンドロメダ銀河
冬の天の川までは6500光年くらい
望遠鏡を使うと遠くまで見える
頑張っても138億光年先までしか見ることはできない
2019/05/18 投稿