望遠鏡が欲しい

国立天文台 望遠鏡キットがやってきた

突然やってきた望遠鏡

 国立天文台(NAOJ)が「一家に一台望遠鏡」という目標を掲げて開発した望遠鏡キットが発売されました。 いろいろあったみたいですが、NAOJがクラウドファンディングで金型代を集めてVixenが製作をした口径5cmの屈折望遠鏡キットです。 国際天文学連合(IAU)の100周年ということでこれから世界中の子供たちに提供されていくことでしょう。

NAOJ望遠鏡キット
たまたまこの望遠鏡を国立天文台の方からいただいたのでこの望遠鏡について記していこうと思います。

組立10分

 キットの中身は望遠鏡の鏡筒とアイピースの筒、それとレンズとネジ、ドライバーが入っています。 鏡筒は竹を割ったように半分の状態でレンズをはめ込んで筒を閉じてネジを止めれば出来上がりです。 接眼レンズ(アイピース)も鏡筒と同様のにレンズをはめ込んでネジで止めれば出来上がりです。 焦点距離の短い接眼レンズはレンズをはめ込むのが少し難しいようです。 いただいた個体だけの問題かもしれませんが短焦点接眼レンズのレンズをはめ込む部分の工作がちょっと難ありでした。 ちょっと接眼鏡筒を削って事なきを得ました。 いただいたキットはもしかして試作品だったのかもしれません。  

NAOJ望遠鏡キット
組立は説明書が入っているので間違わずに組立てられると思います。 ふりがなも振ってあるので子供でも組立てられると思いますが、もう少し絵が多くてもいいような気がします。 言葉は丁寧で分かりやすいのですが、望遠鏡に不慣れな人が組立てることを考えるともう少し詳しい絵が無いと組立て方に悩む人もいそうです。 私の場合は丁寧に組立てても10分程度しかかからなかったので小学校高学年なら30分から1時間コースの組立教室でも十分組立てられる教材だと思います。
組立説明書

ブラックボディのにくい奴

 組立て終わると望遠鏡は真っ黒です。 この写真には組立てた望遠鏡と短焦点のアイピース、スマホ撮影用の治具が写っています。 長焦点のアイピースは望遠鏡本体に取り付けてありますので全部でアイピースは2本です。

望遠鏡は真っ黒
望遠鏡の内側は迷光を防ぐために黒くすることが求められます。 この望遠鏡の鏡筒は内側を黒く塗装する工数を減らすために黒い素材を使ったのでしょう。 ですから表面も真っ黒です。 これではちょっと寂しいですからシール等でデコレーションをしたいところです。 私はIAU100周年のシールを貼ってみました。 100円均一店などでシールを探してデコレーションをするのも子供には楽しいのではないでしょうか。
IAUのシールを貼ってみた鏡筒
IAUのシールを貼ってみた鏡筒

実際に星を見てみた

 組立てたら空が晴れていたので実際に星を見てみました。 仕様は口径5cm、焦点距離40cmの2枚玉アクロマートの対物レンズと長焦点(25mm)のホイヘンス式アイピース(16倍)と短焦点(6mm)のプルーセル式アイピース(66倍)です。 天頂プリズム(天頂ミラー)はありません。 夜空に向けてみるとアクロマートにしては色収差が少なく、周辺まで星が点像に見える大変優秀なレンズでした。

この望遠鏡は「土星の輪が見える」というのをうたっていますのでまず土星を見てみました。 望遠鏡をビデオ雲台に載せて土星の方向に向けてみます。 ファインダーはなく、照準が鏡筒についているのでそれを使って土星に向けてみました。 この照準は意外と優秀で16倍のアイピースを使えば一発で土星に向けられました。 もちろん16倍では土星の輪はあるようなないような像です。 土星を視野の中央に入れてアイピースを66倍のものに取り替えると土星の輪がはっきりと見えました。 かなりすっきりしたきれいな像で土星が見えます。 組立てるときにレンズをはめ込むのですが、このはめ込む溝の作り方が優秀なのでしょう。 光軸もちゃんと合っています。

今回は結構大きなビデオ三脚を使いましたが、それでも最初から66倍で土星を導入するのは困難でした。 やはり照準のみでは低倍率の16倍のアイピースで対象を導入してから66倍のアイピースに換えるのがいいでしょう。

三脚に載せてみた
続いて木星も見てみました。 低倍率のアイピースでは明るい木星とガリレオ衛星がはっきりと見えました。 高倍率のアイピースに換えると木星の縞模様がはっきりと2本見え、大赤斑までも見えました。 2本のアイピースは若干焦点位置が異なるのでアイピースを取り替えたときにピントを合わせなおす必要がありますがそれは仕方ないことでしょう。 かなり優秀な光学系にびっくりです。

そうこうしているうちに立待月が上ってきたので月も見てみました。 16倍では視野の1/5ほどに月がすっぽり入ります。 流石に月の明るさでは周辺に色滲みが見られるのですがそれは僅かでした。 66倍にするとほぼ視野一杯に広がった月を見ることが出来ます。 クレーター等もはっきりと見えて本当に見ていて気持ちがいい光学系です。 ただ、短焦点の66倍のアイピースはアイレリーフが短く、眼をアイピースにくっつけるように覗き込まないと視野全体が見渡せません。 土星や木星など対象が小さいものはいいのですが、全面に見えている月を見るときは子供なら接眼部を手でつかんでしまいそうで少し厳しいかもしれませんね。

結論

 月・惑星を見た感想としては素晴らしい光学系だということを断言できます。 この値段でよく作れたなというのが正直な感想です。 欠点を挙げるとすれば天頂プリズム(天頂ミラー)が付属していないこと、66倍を使うなら架台にも気を使わなければいけないことでしょうか。 66倍のアイピースを使うにはあまりに華奢な架台だと厳しいかもしれませんね。 望遠鏡は安くて優秀だけど架台にどのくらいの金額をかけられるかがこの望遠鏡を使うときの課題かもしれません。 この「一家に一台望遠鏡」プロジェクトが天頂ミラーと架台の課題を克服してうまい解決策を示してくれることを願ってやみません。

ちなみにこの望遠鏡はVixenのオンライン販売のサイトで購入できます。

2019/09/15 投稿