国立天文台(NAOJ)が「一家に一台望遠鏡」という目標を掲げて開発した望遠鏡キットが発売されました。
いろいろあったみたいですが、NAOJがクラウドファンディングで金型代を集めてVixenが製作をした口径5cmの屈折望遠鏡キットです。
国際天文学連合(IAU)の100周年ということでこれから世界中の子供たちに提供されていくことでしょう。

キットの中身は望遠鏡の鏡筒とアイピースの筒、それとレンズとネジ、ドライバーが入っています。
鏡筒は竹を割ったように半分の状態でレンズをはめ込んで筒を閉じてネジを止めれば出来上がりです。
接眼レンズ(アイピース)も鏡筒と同様のにレンズをはめ込んでネジで止めれば出来上がりです。
焦点距離の短い接眼レンズはレンズをはめ込むのが少し難しいようです。
いただいた個体だけの問題かもしれませんが短焦点接眼レンズのレンズをはめ込む部分の工作がちょっと難ありでした。
ちょっと接眼鏡筒を削って事なきを得ました。
いただいたキットはもしかして試作品だったのかもしれません。


組立て終わると望遠鏡は真っ黒です。 この写真には組立てた望遠鏡と短焦点のアイピース、スマホ撮影用の治具が写っています。 長焦点のアイピースは望遠鏡本体に取り付けてありますので全部でアイピースは2本です。



組立てたら空が晴れていたので実際に星を見てみました。
仕様は口径5cm、焦点距離40cmの2枚玉アクロマートの対物レンズと長焦点(25mm)のホイヘンス式アイピース(16倍)と短焦点(6mm)のプルーセル式アイピース(66倍)です。
天頂プリズム(天頂ミラー)はありません。
夜空に向けてみるとアクロマートにしては色収差が少なく、周辺まで星が点像に見える大変優秀なレンズでした。
この望遠鏡は「土星の輪が見える」というのをうたっていますのでまず土星を見てみました。
望遠鏡をビデオ雲台に載せて土星の方向に向けてみます。
ファインダーはなく、照準が鏡筒についているのでそれを使って土星に向けてみました。
この照準は意外と優秀で16倍のアイピースを使えば一発で土星に向けられました。
もちろん16倍では土星の輪はあるようなないような像です。
土星を視野の中央に入れてアイピースを66倍のものに取り替えると土星の輪がはっきりと見えました。
かなりすっきりしたきれいな像で土星が見えます。
組立てるときにレンズをはめ込むのですが、このはめ込む溝の作り方が優秀なのでしょう。
光軸もちゃんと合っています。
今回は結構大きなビデオ三脚を使いましたが、それでも最初から66倍で土星を導入するのは困難でした。
やはり照準のみでは低倍率の16倍のアイピースで対象を導入してから66倍のアイピースに換えるのがいいでしょう。

月・惑星を見た感想としては素晴らしい光学系だということを断言できます。
この値段でよく作れたなというのが正直な感想です。
欠点を挙げるとすれば天頂プリズム(天頂ミラー)が付属していないこと、66倍を使うなら架台にも気を使わなければいけないことでしょうか。
66倍のアイピースを使うにはあまりに華奢な架台だと厳しいかもしれませんね。
望遠鏡は安くて優秀だけど架台にどのくらいの金額をかけられるかがこの望遠鏡を使うときの課題かもしれません。
この「一家に一台望遠鏡」プロジェクトが天頂ミラーと架台の課題を克服してうまい解決策を示してくれることを願ってやみません。
ちなみにこの望遠鏡はVixenのオンライン販売のサイトで購入できます。
2019/09/15 投稿