Astronomical Workshop

望遠鏡のフードを作る

フードとは

 カメラのレンズや望遠鏡にはフードという空洞の筒を先端につけることがあります。 フードの主な役割は斜め方向からレンズに入射する光をカットするためです。 カメラの写真や望遠鏡の視野に関係のない斜め方向から入ってくる光はコントラストを低下させたりゴーストを発生させたりします。 更に、望遠鏡の場合は夜露を防ぐのにも役に立ちます。

簡単なフードは黒い紙を丸めてレンズにかぶせるだけでも効果があります。 要はレンズの視野を遮らないような筒を先端に被せてあげればいいわけです。 大事なのは斜めに入射した光が中で反射して迷光として侵入しないようにすることです。 そのために内部はつや消しの黒色として、できれば遮光板というものを内部に設置して迷光を遮る工夫があれば完璧です。

手軽に使えるべきである

 家の周りに下品極まりないLEDの街灯がついてしまったことでフードが必需品となってしまい、フードを作成していない6.5cmの屈折用にフードを作成することにしました。 この6.5cmの望遠鏡は小さく軽いので稼働率が高く、眼視にも写真撮影にも使用するのでちょっと性能のいいフードを作ってみようかと思って作り始めました。 ただし手軽に作れて手軽に使える物でなければ望遠鏡そのものの稼働率が下がってしまうのでテーマは「お手軽フード」としました。

手軽に作るには材料はいつもの工作用紙を使います。 作成しやすいように断面を正方形として遮光版を入れて作成していましたが、強度が弱く数枚の工作用紙を張り合わせて強度を出していくとだんだんと重くなりこの時点で600gオーバーになってしまいました。 望遠鏡との接続部分はボイド管を短く切ったものを使用し望遠鏡に差し込んで使用するつもりでしたが重くなってしまったので差し込むだけでは駄目そうです。 性能的にはなかなかいい線いくと思ったのですが手軽に望遠鏡に差し込んで使うという訳にはいかなそうなので再考することにしました。

望遠鏡フード第一弾 望遠鏡フード第一弾

軽く作るには

 重くなると強度が不足する。 強度が不足すると補強する。 補強すると重くなる。 この負のスパイラルを断ち切るためにはともかく軽く作ることが必要です。

軽くするためには軽い材料を使うことです。 しかも安くなければなりません。 お金をかければ軽くて性能のいいものを作ることは可能でしょうが、それではお気楽工作を是とするVAOJの名が廃るというものです。 発泡スチロールの筒でちょうどいい太さのものが見つかればその内面を黒く塗ってしまえばいいと思ったのですが、近所のホームセンターを探した限りではちょうどいいものがありませんでした。

発泡スチロールが無ければやはり工作用紙で作らねばなりません。 紙で筒状のものを作り、なおかつ強度がある程度確保できる方法を探してネットをうろついていたら折り紙のページにたどり着きました。 中でも筑波大の三谷純さんのページに心奪われました。 三浦折が人工衛星の太陽光パネルの展開に使われていることは知っていましたので折り紙で強度の確保できる筒を作る方法がないかと思ったらありました。 吉村パターン(ダイアモンド・パターン)というそうです。 缶チューハイのでこぼこしている缶に採用されているやつですね。

さっそく小さなものを試作してみると工作用紙一枚で出来そうだし、軽くて強度も確保できそうです。 それにネジリに対してもかなり頑丈です。 まあ紙一枚といってもトラス構造ですから当然といえば当然ですね。

吉村パターン試作1 吉村パターン試作2
筒状にして明るいほうを覗いて見ると迷光もある程度遮光できていそうです。 この試作は4面で筒状にしているので正方形の孔が45度ずつ回転したものが重なって見えますので孔としては8角形となります。
吉村パターン試作3

実際に作ってみる

 試作で何とかできそうだということがわかったので実際に作ってみます。 6.5cm屈折に付属するフードの外形が直径8.3-8.4cmでしたのでこのように工作用紙一枚から作成できます。

切り抜きパターン
工作用紙にパターンを描いて切り抜いたものです。 筒にするときののりしろもつけてあります。 赤線が谷折り、斜めの黒い線が山折りです。 折り曲げる線には山になるところにカッターの背で傷をつけておくと真っ直ぐに折ることが出来ます。 工作用紙は1cm毎の線が引いてありますので、一辺が 対角線が8.4mの正方形が並んでいるのが分かると思います。
訂正: 上記一辺が8.4cmの正方形という記述は間違いで、対角線が8.4cmというのが正しいです。 下の写真の谷折りとなる赤線の部分が中の孔の正方形の一辺になりますので、この長さが孔の直径に相当する長さとなります。
切り抜きパターン2
切り抜いて筒状にしたものと試作の筒を並べてみました。
試作との比較
内面を黒く塗ります。 これはラッカースプレーを使って塗ってみました。 ラッカーを塗っておくと夜露に濡れたときに紙がぶよぶよになるのを防げます。 これはホームセンターで在庫処分叩き売りになっていたつや消しの黒のラッカースプレーを使ったのですが、完全なつや消しとまではいかないようです。
内面は黒のつや消しを塗る
内側を黒く塗ったら両面テープを使って筒状に固定します。 ここでのりしろが効いてきます。 のりしろに両面テープを貼って中央部分から丁寧に貼り付けていきます。
両面テープで組立てる
筒ができたら中を光にかざして見ます。 まあある程度遮光もできていますね。 この八角形に直径8.4cmの円が内接するわけです。 少しぐらい曲がってもけられることは無いと思います。
遮光性能
外側は白のラッカースプレーで塗装しました。 外側も湿気から保護するために塗装は欠かせません。 夜でも見やすいように外側は白にしました。
外側は白く塗装
塗装後に重さを測ってみたら44gでした。 とても軽く丈夫に出来ました。 この重さならバランスを気にすることなく着脱できます。 紙一枚で作成するトラス構造のフードの完成です。 工作用紙が4枚で100円でしたので実質100円以下で作成できたことになります。 工作時間も調査と試作を除けば1~2時間ですのでお手軽お気楽工作としては満足いくものとなりました。 ちなみに望遠鏡にフードをセットするのに要する時間は3秒です。
6.5cm屈折望遠鏡 屈折望遠鏡とフード

2019/07/28 投稿
 2019/07/30 訂正