Seestarはオールインワンの自動導入天体写真儀であり購入したらそのまま使えるのが利点ではあるのだが、対物レンズにはフードに相当する遮光機構がないため街灯の側などでは迷光が入射してしまうのが懸念される。 簡単なフードを作っても十分効果があるのだがどうせなら理想のフードとはどのようなものかを検討してみることにした。
もちろんフードにどのような機能を期待するかによって考え方はいろいろあるはずである。 その中でも遮光に関するものとして遮光版の位置・大きさについて検討してみる。 ここでは「フードの側面にて反射する光が直接レンズに入射しない」という条件で遮光環を考えてみた。
Seestarは対物レンズの口径が50mm、焦点距離が250mm。 撮像素子はIMX462であるから対角6.45mmである。 したがって撮像素子の対角が望む視野は1.5°程度である。 フードは正確に光軸と平行に取り付けられるとは限らないので視野3°程度までけられないようにすることとする。
Seestarの対物レンズが収まっている筐体部分は対物レンズに垂直な面の幅が58mm程度である。 したがってフードの対物レンズ側の幅(直径)は58mmとしてみる。 ただしフードを直径58mmの円筒状として考えるとレンズ側でもレンズとフード外径の間に4mmしか余裕がないことになり、遮光環を設計するのが困難になりそうなので先端が開いたラッパ型のフードを考えることにする。
フードの長さは自由に決められるが、ただでさえ風に弱いSeestarであるからあまり長いフードは考え物である。 もちろん短ければそれだけ遮光性能を犠牲にしかねないのでとりあえず10cm程度の長さを念頭に検討を始めることにする。
とりあえず長さ100mm、外径58mmの筒を描いてみる。
左側がレンズで右側がフードの先端になる。
緑の線は50㎜のレンズから見た視野3度(片側1.5°)の範囲である。
したがって遮光版をつけるときはこの緑線の内側の範囲は覆わないようにする必要がある。
ここで問題となるのが先端部分の遮光環である。
58mmの円筒を仮定すると先端部分の遮光環の幅が1.38mmとなり紙工作では厳しい寸法である。
3Dプリンタならば可能だろうが、緑線と外径の黒線の幅が狭いと(すなわち遮光環の幅が狭いと)工作しにくいのに加えて遮光環の数が多くなりすぎる。
そこで遮光環の幅を稼ぐためにラッパ型の形状を考えてみる。
対物レンズ側を余裕を持たせて52mm径を与え、先端側を外径70mmにしてみたのが下図である。
先端の遮光環の幅が6mm程度になったのでこれならば紙工作でもできそうである。
しかしこれでは遮光環の枚数がまだ多そうな気がするがとりあえず遮光環を並べてみることにする。
フード先端の遮光環の手前の側面がレンズ側から見えないようにレンズ側の端点から先端の遮光環の端まで下図の橙線の様に補助線を引く(①)。
橙線と視野の境界を表す緑線との交点が遮光環の位置と内円となる(②)。
これで内蔵する1枚目の遮光環の位置と大きさが決まったことになる。
横から入射する光がどの程度遮光環で防げるかを見るためにフード先端の遮光環の端から1枚目の遮光環で遮られる部分を補助線で求める(①)。
赤線の部分には光が当たらないので赤線の端からレンズ側の端まで補助線を引く(②)。
補助線と緑線との交点が2枚目の遮光版の位置と大きさとなる(③)。
上記を繰り返して遮光環を並べていくと下図のように遮光環を13枚も中に追加しなければならなくなることが分かる。
これは計算で求めてもいいけれどもCADで作画して求めるのが簡便である。
寸法と見てみると内部に13枚の遮光環を配置するのは現実的ではないとわかる。
ではどうすればいいだろうか。
一般的には緑線が表す視野のために確保しなければならない領域から外側のフード自体までの距離を長くとると遮光環の枚数が減る。
そこでフードの先端の外径を90mmに拡大してみると下図のように内部の遮光環を8枚にまで減らせることが分かる。
同様にフードの外径を90mm、フードのレンズ側の外径を70mmとすると内部遮光版の数を5枚まで減らすことができる。
5枚目の遮光版はなくてもあまり影響がなさそうだから長さ100mmのフードでは遮光版4枚というのが実用的な解かもしれない。
以上の考え方をもとに長さの異なるフードも検討してみて最適なサイズを見つけてみようと思う。 もちろん側面での光の反射が無ければ一番上の図にある内部遮光環のないフードでも十二分に性能を発揮できると思われる。 そのためには内部に無反射塗料を塗布すればいいのであるが無反射塗料は結構値段が高いのでその辺はうまい落としどころを考えなければならない。