Cartes du Ciel で EQ5 を動かしてみたい

見たい天体を自動で導入してくれる望遠鏡が欲しい

VAOJはバーチャル天文台なのですが、たまには満天の星の下で望遠鏡で星を見たりします。写真も撮ったりします。双眼鏡や望遠鏡を持ち出して眺めたりもします。そんな時に望遠鏡が見たい天体を自動で導入してくれたら楽ですよね。最近の望遠鏡はGOTO機能(天体を導入してくれる機能)がついているものが多いのでその点は楽になりました。手動で天体を導入できなければいけないという持論を持っている人もいますが、天体を手動で望遠鏡の視野に導入するのはかなりの専門スキルです。そこに肉眼で見えている月を望遠鏡に導入することは比較的易しいのですが、望遠鏡でも見えるか見えないかという天体を導入するのはとても大変な作業です。GOTO機能で目的の天体を導入して、この視野の中に見えているはずという状況を作り出せればその視野の中で目的の天体を探すことに集中できます。GOTO機能が天体観望入門へのハードルを下げてくれるのは火を見るよりも明らかなのでVAOJとしては積極的に推奨しています。

GOTO機能の付いた望遠鏡も比較的安価に入手できるようになった昨今ですが、目的の天体を正確に望遠鏡の視野の中央に導入してくれる望遠鏡はまだまだ高価なものです。SkyWatcher社のEQ5GOTOという安価な部類に属する望遠鏡架台(赤道儀)を所有しているのですがとても便利です。低倍率の広い視野を持つアイピースを使用すると目的の天体を高い確率で視野内に導入してくれます。そのためには赤道儀の極軸を正確に天の北極に向けておく必要があるのですがそれがなかなか難しいのです。さらに望遠鏡を駆動するモーターの力を架台に伝えるためのギヤの精度が(高価な望遠鏡に比べて)それほど高くないためにある程度の誤差はしかたないのです。そのためGOTO機能で天体を導入した後に手動で微調整をして目的の天体を視野の中央にもってくるという操作が必須となります。

手動導入手動追尾から自動追尾、さらには自動導入とどんどん楽になってきたわけですが次のステップはPlate Solvingといわれる機能になります。これは望遠鏡の視野の中に見えている星を認識して今望遠鏡がどこを向いているのかを計算し、目的の天体が視野の中央に来るように微調整をしてくれる機能です。望遠鏡がどこを向いているかを認識するにはカメラの画像が必要になります。もともとPlate Sollvingの機能は人工衛星の姿勢制御のために衛星に搭載したカメラが天のどの方向を向いているかを星の画像から算出して制御するStar Trackerという技術でした。コンピューターの演算速度の高速化とともに民生用のPCでもこの技術が使えるようになったわけです。Plate Solvingが標準で搭載されているアマチュア用の安価な望遠鏡はまだないようですが時間の問題でしょう。今でも望遠鏡にカメラとPCを繋げば比較的安価にシステムが構成できますのでシステムを組んでいる人は大勢いますし、対応したソフトウェアもいろいろ出ています。

構成を考えてみる

VAOJでもPlate Solvingのシステムを組んでみようと思っていろいろ調べてみました。最も一般的で使い勝手のよさそうなのはプラネタリウムソフトで天体を指定すると望遠鏡がその天体を導入して視野の中央に微調整するというシステムでしょう。このシステムを手持ちの機材を使ってなるべく安価に構築してみることにしました。

まずプラネタリウムソフトを調べてみました。いろいろとあるようですが有名どころではCartes du Ciel (Sky Chart)、Stellariumでしょうか。AstroArts社のステラナビゲーターでも望遠鏡の操作はできますし多機能なのですが有償ソフトなので誰にでも無条件に勧められるかというと難しいのでここでは安価にこだわって候補から外しました。Cartes du CielもStellariumも無償で使用できるのですがどちらがいいのかはよく分かっていません。ただCartes du CielはGAIA DR2のデータが公開されていたのでGAIAのデータを見てみたいという目的でPCにインストールしていたのでとりあえずこれを使ってみることにします。カメラは惑星を撮影するために購入したASI 224MCというCMOSカメラが手許にあるのでこれを使います。赤道儀は前述のSkyWatcher社のEQ5GOTO、Plate Solvingのソフトはまだ調べている最中で決まっていません。これに関しては構築しながら考えていくことにします。

今の時点で分かっていることをまとめるとこんな形かなと絵にしてみました。

接続方法に関してはいろいろあるようです。例えばPCと架台を繋ぐにはPCから直接架台に接続する方法や、絵のようにハンドコントローラーを介して接続する方法。PCから架台を制御する通信方式もいろいろあるみたいです。どのような接続形態があり、どのように使うと効率的かなどもおいおい調べていかなければいけないのですが、とりあえずまずは動かすことを優先に探っていくことにします。

まずはPCから赤道儀を動かしてみる

PCと架台(赤道儀)を繋いで動かしてみることにします。PCと架台はシリアル通信を行うのですが、最近のPCにはRS232Cなどのシリアル通信のコネクタはありません。そこでUSB-シリアル変換ケーブルを使います。幸い以前別の用途で購入したシリアル変換ケーブルがあったのでそれを使うことにしました。

ELECOMのUC-SGTというUSB-シリアル変換ケーブルです。これのUSBコネクタをPCに挿して変換器側を架台に付属していた接続ケーブルに繋いでその反対側をハンドコントローラーの底部に挿します。これでPCと架台との通信ができるようになるはずでした。

しかし、ここで問題が発生しました。Windows7では使えていたこの変換ケーブルがWindows10では動作しません。Windowsのデバイスマネージャーを見ると黄色い三角のビックリマークが出ていました。いろいろ調べてみると、このケーブルに使われているPL2303というchipは中国のパチモン対策でWindows10ではそのままでは使えなくなったようです。Windows10用はUC-SGT1という商品名になっているようです。このUC-SGTも内部のEEPROMに書き込まれているProduct ID等を無理やり書き換えてあげればWindows10でも 使えるという記事を見つけたので早速やってみたのですが何をどうやってもこのケーブルは使えませんでした。 こちらももう少し調査が必要です。

しかたなく近所の家電量販店にWindows10対応の変換ケーブルを買いに行ったのですが3500円前後と結構高かったのでAmazonで1000円程度の安いケーブルを注文してみました。もしかしたら安物買いの銭失いになるかもしれませんが・・・

(つづく)

コンデジで変光星観測 4

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(2)測光する (a)一次処理

撮影した画像をPCに取り込んで測光用のソフトウェアで星の明るさを測ります。星の明るさを測る前に撮影した画像を測光ができるように処理しておかないといけません。この処理のことを一次処理といいます。ここではRAWデータ形式で保存された画像を用いることにします。

星の明るさを測るといってもいったい何を測るのでしょう。そう、画像に写っている星が何等星であるかを測りたいのです。では何等星というのはどういう意味なのでしょうか。例えばAさんがある星を見てX星よりY星の方が明るく見えたとします。でもBさんはX星の方がY星より明るく見えると主張しました。AさんとBさんのうちどちらかが嘘をついているのでしょうか?もちろんどちらかが嘘をついている可能性は排除できませんが、どちらも正しいという場合もあります。例えば、AさんとBさんの色の感受性(感度)が異なっていたとしましょう。Aさんは赤の方が青より明るく見える眼を持っていて、Bさんは逆に青の方が赤よりも感度が高い眼を持っているとしましょう。X星は青い星でY星が赤い星だったとしたらAさんもBさんも素直にそう見えたといっているだけで二人とも嘘はついていないということもあるのです。AさんとBさんをカメラに置き換えて考えてみてください。2台のカメラでそれぞれ写した画像を使って測光したら全然違う値が測れてしまったら困りますよね。それを調整するための前処理も一次処理の中に入っています。

星の等級を決めるために1950年代にジョンソンさんという天文学者が波長帯(色)別に星の明るさを決めました。そのときにU(紫外線域)、B(青色域)、V(実視域 Visual)のフィルターを用いて測光標準星を決めました。その時に使ったフィルターと同じ特性をもったフィルターをジョンソンフィルターといいます。その後カズンズさんがRc(赤色域)、Ic(近赤外域)のフィルターを用いて波長の長い光の等級を決めました。これらのフィルターを用いて測光するシステムをジョンソン・カズンズシステムといいます。ただしジョンソン・カズンズのフィルターは測光用以外に使い道が無くて数が出ないためでしょうがとても高価です。フィルターだけで1セット10万円から数十万円もします。これではお手軽観測とはいえません。

ジョンソン・カズンズシステムのフィルターはその特性をきっちりあわせて作る必要がありますが、世界の天文台ではその目的に応じてジョンソン・カズンズとは特性が違うフィルターを使用していることが多々あります。それでも最終的にはジョンソン・カズンズシステムで測光した値に換算できるように換算式をもっています。このあたりの詳細は東北大学にいらっしゃった市川さんのこの記事を参考に勉強してみるのがよいでしょう。

話が少しそれましたが、変光星を測光して明るさを決めるときにはジョンソン・カズンズのVフィルターで測光した等級(V等級)やBフィルターで測光したB等級などとジョンソン・カズンズシステムで測光したとしたらこの等級になるよという値を求めなければなりません。そこでどうするかというとコンデジの撮像素子(CMOSなどと呼ばれます)は光の3原色に相当する画素が規則正しく配置されていることを使います。撮像素子は緑と赤と青に感じる素子がベイヤー配列と呼ばれる配置で並んでいます。ですから撮影した画像の中から各色に相当するデータごとに分けてあげ、その内緑の素子が写したデータだけを使うことにします(このデータをGプレーンのデータといいます)。そうすればVフィルターをつけて撮影した画像に近いデータが得られることが分かっています。すなわちGプレーンのデータを使って測光すればV等級が測れると思ってください。(もう少し詳しく言うとGプレーンのデータはV等級ではなくVt等級と相性が良いようです。Vt等級とはヒッパルコスという測光衛星が使っていたフィルター特性から決められた等級です。)

では最初に撮影した画像のRAWデータからGプレーンを取り出してみましょう。取り出すには星空公団さんが作成・配布してくれているraw2fits.exeというソフトを使用します。このページにあるraw2fits.exeをダウンロードしてどこかに保管して置いてください。使い方は簡単でWindowsのエクスプローラーから変換したい画像ファイルをドラッグしてraw2fits.exeにドロップするだけです。そうすると画像ファイルがあった場所に各プレーンに分けられたデータがファイルとして生成されます。CANONのカメラのRAWデータはCR2(最近のものはCR3だったりします)という拡張子が付けられています。例えばxxx.cr2というファイルをraw2fits.exeにドロップするとxxx.cr2.b.fits とかxxx.cr2.g1.fitsとかいうファイルができます。この内、xxx.cr2.g.fitsというデータファイルを使って測光します。実はベイヤー配列の撮像素子には緑を感じる画素が赤や青に感じる画素数の2倍あります。それぞれを取り出したxxx.cr2.g1.fitsと xxx.cr2.g2.fitsというファイルも出来ますが、g1とg2を加算したファイル(xxx.cr2.g.fits)でいいでしょう。(g1,g2,gをそれぞれ測光してみましたが大きな違いはありませんでしたので)ただし、raw2fits.exeが全てのカメラのRAW画像を扱えるわけではないようですし、このソフトはWindowsでしか動きません。Linuxなどの非Windows PCを使っている場合やraw2fits.exeがサポートしていないカメラの場合は別の方法を考えなければなりません。

raw2fits.exeが生成したファイルの拡張子がfitsとなっていますが、これはfits形式のファイルであることを表しています。fits形式というのは天文関連の研究機関で共通に使われるデータ形式のことです。一般的にはあまり知名度の無い形式ですが、天文界隈では世界標準の形式です。

取り出したGプレーンの画像を使って測光をするのですが、その前にもう少し前処理をしなくてはいけません。それはダーク補正とフラット補正です。ダーク補正というのはカメラのレンズをふさいで撮影した真っ黒なデータです。デジタルカメラは数百万、数千万の画素がありますのでそのうちのいくつかはちゃんと機能していなかったり、温度が高いと暗電流ノイズというノイズ(雑音)が写ったりします。ですから星を撮影したのと同じ条件(感度、露出時間、温度の条件を揃える)でダーク画像を撮影しておきます。そして星の画像からダーク画像を引き算してあげることでノイズなどを消してあげる作業をします。

今回使用しているG5Xというカメラは長秒時ノイズ低減という機能があり、それはある程度長い露出を行なうと、撮影した直後に同じ露出時間だけダーク画像を撮影して自動的に引き算してくれる機能です。私はこの機能を使っているのでダーク演算はしていません。

フラット画像とは画像を平坦にするものです。どういうことかというとカメラを真っ白なものに向けて撮影すると下のような画像が得られます。本来真っ白な画像になるはずですが、周辺が暗くなっていますね。これを周辺減光と呼びます。カメラのレンズは有限の大きさを持っていますから周辺部に入ってくる光は中心部に入ってくる光より弱くなります。ですから周辺に写っている星は中心に写っている星より暗く写ってしまうことになります。これでは写る位置によって測光した値が変わってしまうのです。ですからフラット画像のデータで星の画像データを割ってあげて全面に均一に光が入ったように補正してあげるわけです。この処理をフラット補正といいます。

今回の場合は、Gプレーンの取り出し、ダーク補正、フラット補正をまとめて一次処理と呼んでいます。モノクロカメラにジョンソン・カズンズシステムのフィルターを使用して撮影された画像に対してはGプレーンの取り出しは不要ですので、その場合はダーク補正、フラット補正をすることを一次処理といいます。

一般にはダーク補正、フラット補正はソフトウェアを用いて行ないます。今回使用するステライメージというソフトは一次処理を行なうことができます。もちろん他にもいろいろなソフトで一次処理を行なうことができます。国立天文台で無償で配布しているマカリというソフトを用いてもダーク補正、フラット補正が出来ますのでこれもお勧めです。

コンデジで変光星観測 3

←「コンデジで変光星観測 2」「コンデジで変光星観測 4」→

(1)写真を撮る

カメラを三脚につけて目的の変光星を撮影します。目的の星がどこにあるかは星図と見比べて決めます。PCやスマホのステラナビゲーターやスマホのSkySafari等のプラネタリウムソフトを使って調べてもいいですし、日本変光制研究会のページで変光星図を公開してくれていますのでそれを使ってもいいでしょう。AAVSOのサイトでは変光星を指定するとその場で星図を出力してくれるページがありますのでそれを利用するのもいいと思います。

カメラは露出を20秒以上に設定します。これは星の瞬き(シンチレーションといいます)によって星が明るく見えたり暗く見えたりする影響を排除するためです。ある程度長く露出することによって星の明るさの見え方を平均化するのです。ただ、露出を長くすればするほど良いかというとそうでもありません。固定撮影ですから露出を延ばすと星が線になって写ります。その線があまり長くなると測定がしにくくなるのです。星の明るさを測るときには星を点に写す必要はなく、ある程度線状に写ったほうが好都合なのですが、あまり長すぎると後で大変になるということです。

絞りは開放(F値が一番小さい状態)か一段絞ったくらいでいいでしょう。あまり絞りを絞ると星が写らなくなってしまうので。絞りを絞ると星の形(星像)がよくなりますが明るさを測定するときにはあまり星像をよくすることを考えなくてもいいです。正確に測定するためには星の光をたくさんの画素に分散させたほうがよいのでピントを少し甘くして(いわゆるピンボケにして)撮影するくらいですから。

ISO感度はちょうどいい値を試行錯誤で決めます。前述のように露出はある程度長くしなければならないので、住宅地など空が明るいところでは露出オーバーになってしまうこともあります。露出オーバーになってしまう場合は感度を下げてちょうどいいところを探ります。目的の星がちゃんと測定できる程度に写っていることを確かめながら感度をいろいろと変えてみて決定してください。

以上まとめますと、カメラを固定して露出時間、絞り、感度を設定して撮影する、ということです。そのためにはマニュアルモードがあるカメラが望ましいことになります。オートの設定では撮影の度に撮影条件が変わってしまいますので定量的な測光データが得られにくくなります。

下の写真はCanonのPowerShot G5Xというコンパクトデジタルカメラを使ってくじら座のミラを写した画像です。焦点距離9mm(35mm換算で24mm)、露出20秒、絞りF2.8、ISO400での固定撮影です。LEDの街灯が煌々と照らす住宅街でも写真に撮ると肉眼で見えるより多くの星が写ります。ミラは2等星から10等星まで変光する変光星ですが、今は3等星くらいで肉眼でも見えるくらい明るくなっています。ここではこのミラを測光してみることにします。

コンデジで変光星観測 2

←「コンデジで変光星観測 1」 

全体の流れ

コンデジで変光星の観測をする流れを書いてみます。こんなことやるんだというイメージを持ってもらえればいいのですが。その後それぞれの作業について解説していこうとおもいます。

(1)まず写真を撮ります。カメラを三脚につけて目的の星を視野内に入れてシャッターを押すだけです。三脚は多少華奢なものでも大丈夫です。カメラの時計を正確に合わせておいてください。露出は20~30秒くらいです。絞りはなるべく開けて下さい。ISO感度は適当(後で詳しく書きます)でいいでしょう。

(2)撮影した写真をPCに保存します。その写真を一次処理という前処理をしてから星の明るさを測定します。一次処理や測定に使うソフトウェアはいろいろなものがあります。私も数多くのソフトを使ったことがあるわけではないので、ここでは無料で入手できるものとステライメージという天体写真の画像処理を行なう有償ソフトでの処理をして見ます。ステライメージは体験版があるのでそれで試してみるのもいいでしょう。

(3)測定結果が得られたらグラフを書いてみることをお勧めします。変光星は数日~数年という間隔で変光しますからグラフに描いてみるとその星がどんな風に明るさを変えているのかが実感できます。世界中の変光星観測者のデータが集まってくるAAVSO(American Association of Variable Star observers)という組織があるのですが、そこのページで変光星のグラフを見ることが出来ます。そのグラフと自分の観測結果を比べれば自分の観測の妥当性も分かるでしょうし、慣れてきたらAAVSOに測定結果を投稿するのも楽しそうです。

コンデジで変光星観測 1

コンデジで変光星観測 2」→

変光星を観測してみたいということで第一弾として「コンデジで変光星観測」をしてみたいと思います。最初にお断りしておきますが、私は変光星観測はど素人です。変光星を観測してみたいので今からはじめてみる素人の記録として見てくださいね。これからの試行錯誤を記していきますのでいろいろ間違っているかもしれません。識者の方からの御指導度鞭撻お待ちしていますm(_ _)m

まず、なぜコンデジなのかですが、観測を始めるにあたり敷居が低そうなので選びました。コンデジですと比較的持っている人も多いでしょうから新たに機材を揃える必要も無いし、気軽に出して観測してさっとしまえるのではないかというものぐさな人向きだろうと考えたからです。

目論見としては以下のような運用を考えています。

  • コンデジを三脚にセットする
  • 固定撮影で目的の星を撮る
  • PCで撮影画像から測光する
  • まとめる

これならば気軽に続けられるのではないかと考えたからです。帰宅が遅くなったとき、予定外の飲み会が入ったとき、曇っていたのに一瞬晴れたとき等でも大丈夫です。観測場所としては主に自宅の玄関先を考えています。3等星が見えるか見えないかの環境の上、最近LEDのギラギラした街灯をつけられてしまって全く星を見るような環境ではないのですが、この環境で続けられる方法ならできるという人も多いだろうと考えてのことです。

使用するカメラは手持ちの CANON PowerShot G5X という機種です。これと三脚だけが観測機器ということになります。このカメラはRAWデータで撮影できる機種です。最近はRAWデータで撮影できる機種も増えていますからお持ちの方も多いのではないでしょうか。もちろんデジタル一眼レフやミラーレスカメラでもOKです(OKというよりそちらのは好ましいでしょう)。JPEG画像しか撮影できない機種でもある程度の観測はできますのでJPEGカメラのみをお持ちの方はそれで始めてもいいと思います。さすがにスマートフォンのカメラでは難しいかもしれません。もちろん技術が進歩すればスマホのカメラで変光星観測も夢ではないと思いますが、現在のスマホカメラの画像で観測するにはより高い知識と技術が必要になってしまうのでここでは言及しません。

ちなみにJPEGとRAWとはカメラで写した画像をメモリーカードに保存するときの形式のことです。JPEGは Joint Photographic Experts Group という組織が決めた形式で現在ほとんどのデジタルカメラはこの規格に準拠しています。ただ、この規格はダイナミックレンジが8bitしかありません。真っ暗な部分と一番明るい部分の間を8bit(256段階)に分けて記録しますから一つの画素だけに注目すれば精度は1/256しかないということです。一方RAW形式はカメラメーカー毎の独自規格ですがダイナミックレンジが12bitから13bit程度あるようです。すなわち前述の精度的には1/4096から1/8192くらいとれることになります。ですので観測するにはこちらの形式の方が有利になります。それ以外にもJPEGとRAWの違いはいろいろあるのですがRAW形式で画像を保存できるカメラをお持ちの方は是非RAWで撮影してください。

ミラが明るいですね

ミラをご存知でしょうか。くじら座にある変光星です。2等星から10等星まで330日程度の周期で変光するので明るいときは肉眼でよく見えますが、暗くなると小口径の望遠鏡でも見つけ難いほどになります。

今ミラが明るくなっています。11月中旬頃に明るさのピークを迎えると予想されていましたが10月の下旬にピークを迎えて今はだんだん減光を始めているようです。

変光星って面白いですよね。でも、夜空の恒星は多少なりとも変光しているんです。例えば太陽を考えてみましょう。太陽には黒点が現れたり、フレア等の爆発が起こったりしています。遠くから太陽をひとつの恒星として観測していたら黒点が出たときには暗くなり、爆発が起こったときは明るくなるでしょう。ですから恒星は全部変光星だと言っても間違いではないでしょう。ただ、黒点が出たときの減光の度合いはとても小さなものです。観測できないような小さな変化しかない星はいわゆる変光星とは呼びません。変光星というのは観測できるほど明るさが変化する星のことを指していると思ってください。

変光星というのはその変光するメカニズムによっていろいろなタイプに分類されています。ミラは脈動変光星というものです。このタイプの星は寿命が終盤にさしかかって中心部での水素やヘリウムの核融合が終わりに近づいた星です。中心部分で水素やヘリウムを燃やしつくしてしまったのでその周辺で水素やヘリウムの核融合が起こります。これを殻燃焼というのですが、水素が核融合によってヘリウムになり、ヘリウムが増えることでヘリウム殻フラッシュという爆発的燃焼が定期的に起きます。これがミラ型変光星の変光のメカニズムです。変光星は他にもたくさんの種類があります。複数の星が互いに周っている連星系でおきる食変光星もたくさんあります。ペルセウス座のアルゴルが有名です。地球から見ると連星を作っている星が互いを隠しあう(これを食といいます)ために明るさが変化して見えるのです。

夜空の星が変光しているなんてあまり気にしませんよね。でも知ってしまうとどのくらい変光しているのだろう、今はどんな段階なのかなと気になりませんか。私は気になってしまいました。そうなると変光星を観測してみたくなります。私はものぐさなので手軽に観測できる方法はないかと探してみました。もちろん高価な観測機器を揃えれば観測は出来るのですが、だれでも気軽に観測できる方法を試してみたくなりました。そうすればいろいろな人が気軽に観測できるので「変光星っておもしろいよね」という人が増えてくれるのではないかと思ったのです。

とうわけでこれから何回かに分けて「お気楽変光星観測」について書いていこうと思います。

天文宇宙検定

第9回 天文宇宙検定 というものを受けてみました。

この検定の存在は知っていたんですが近所に試験会場が無かったので特に受けることを考えたことが無かったのです。しかしWebをうろついていたら仙台に試験会場が出来ているのをたまたま見つけてしまいました。しかも受付締切を過ぎていたのですが(受験者が足りないのか?)ネットでの受付を延長していたのでポチッと申し込んでしまったのです。

このところ忙しくてBlogの更新もままならない日々を過ごしていたし、星の見れる晴れ間もなかなかなくフラストレーションがたまっていたのでよい気晴らしになるかなというのもあったと思います。それに天文普及の一環として他人に勧められるものなのかどうかも確認したかったので自分で受けてみたいというのもありました。

天文宇宙検定は1級から4級までの4つの検定があります。公式ページには以下のような記述があります。

○1級 天文宇宙博士
 理工系大学で学ぶ程度の天文学知識を基本とし、天文関連時事問題や天文関連の教養力を試したい方を対象
○2級 銀河博士
 高校生が学ぶ程度の天文学知識を基本とし、天文学の歴史や時事問題等を学びたい方を対象
○3級 星空博士
 中学生で学ぶ程度の天文学知識を基本とし、星座や暦などの教養を身につけたい方を対象
○4級 星博士ジュニア
 小学生が学ぶ程度の天文学知識を基本とし、天体観測や宇宙についての基礎的知識を得たい方を対象 4級は小学生程度

1級の受験資格は2級合格者ですからいきなり1級は受けられませんでした。2,3,4級は同日に複数の級を受験できるようです。とりあえず3級と2級を受けてみることにしました。中学、高校レベルなら楽勝だろうと思ったのですがそんなに甘いものではありませんでした(汗)。

試験は50分でマークシート方式。1級と4級が40問、2級と3級が60問です。1,2級が70点以上、3,4級が60点以上で合格だそうです。2級と3級には問題文に☆印があるものが配点2点、無印の問題が配点1点です。1,4級は分かりませんが同じようなものなのでしょうか?。

試験時間としては60問を50分で解くのは結構忙しいですね。3級はほとんど知識を問う問題ですから知らないことはいくら考えてもほとんど手が出ません。分かるところは解答して残り時間は粘って考える要素も無いので時間が余りました。ちゃんと勉強した人には時間が足りないかもしれません。2級の問題は、分からなくても原理的に考えれば選択肢が絞れる問題がありましたのでもう少し粘れる感じです。結果的には2級は時間が全然足りませんでした。

2級、3級を受験した感想としては広範な知識を覚えているかを問う試験という感じですね。教養としての天文に触れるにはいいのではないかと思いました。数学、物理的な訓練は受けていなくてもちゃんと勉強すればバランスよく教養が高められると思います。ただ、範囲は広大です。天文学から宇宙開発、神話、暦、天文史、星座や天体の知識までこれでもかというくらい範囲が広いです。確かに3級の知識を正確に身につければ星を見ていてもいろいろ楽しめるし、2級の知識を正確に身につければ観望会を開いても話題に困らないだろうなと思いました。その意味でも星好きの人は一度勉強してみるのもいいのかもしれないと思ったのでした。ただし重箱の隅を突くようなもうちょっと教育的に考えてもらいたい設問もあるので、結果に一喜一憂するのではなく気楽に勉強してその確認の意味で気楽に受験するのがよいでしょう。この類は民間のお遊び検定なので自らが学ぶためのペースメーカーとして活用するのが吉です。

1級は大学で学ぶ程度ということなので大学初年度程度の計算問題も出るんですかね。数学や物理はどの程度の知識が要るのでしょう(←全然調べてない奴^-^;)。来年は1級を受けてみようかな。えっ?ちゃんと勉強しないと受からないって?その前に2級に受からないと1級受けられないって?試験翌日の昼に公式ページで解答速報が出てましたので自己採点してみました。とりあえず2,3級は合格したようです。(結構ケアレスミスがあって凹みましたけど・・・)成績優秀者には望遠鏡や双眼鏡などの豪華商品がもらえるチャンスがあるそうなのですが、それを狙う人はケアレスミスをしないようにちゃんと勉強して、ちゃんと問題文を読まないとだめですね(^-^;)

試験会場が遠い人には高い交通費をかけてまでは勧めませんけど、 試験会場が近くにあり、とりあえず興味のある人には勧めてもいいかなと思いました。 できればオンラインで受験できるようなシステムの整備を望みます。

十五夜

2019/09/13 は2019年の十五夜でした。十五夜は旧暦八月十五日ですが、現在の暦では毎年日にちがずれます。ここ最近の十五夜は以下のようになります。

月 日
201809/24
201909/13
202010/01
202109/21
202209/10

こちらにも少し書きましたが、十五夜=満月 ではありません。十五夜は新月を含む日を一日(ついたち)として十五日目の夜です。その日に見える月が十五夜の月です。一方満月というのは月と太陽との黄経差が180度(地球を挟んで太陽と正反対に月がある)の状態のときの月を言います。ですから十五夜の月が必ずしも満月とは限らないのです。今年の十五夜は9月13日、満月は9月14日でした。正確には9月14日の午後1時半ごろが黄経差180度でしたから、その時点を含む日は9月14日となり、9月14日が満月と言っているのです。

今年は雲が多くて月が出てもすぐに雲の中に入ってしまうのでコンパクトデジタルカメラで撮ってみました。満月の瞬間が14日の昼だったので13日の十五夜も14日の満月も同じように丸く見えました。なんだか満月を2日続きて見たようでちょっと得した気分でした。

久々に太陽が顔を見せています

今年の梅雨は一昔前に戻ったかのようなまともな梅雨です。東北地方の太平洋側は「やませ」が入り涼しくて星が見えない日が続いています。涼しいというより肌寒いと言ったほうがいいかもしれません。蒸し暑い梅雨よりはよほど快適なのですが連日星が見えないのは少しストレスがたまります。今日は久しぶりに青空と太陽が見えています。今夜にはまた天気が崩れてくるので昼間だけなのでしょうが、青空がこんなに気持ちいいものだということを再認識させてくれますね。

今夜は山形県の最上地方で観望会があるようです。保養センター最上で行うようですのでお近くの方は出かけてみてはいかがでしょう。あの保養センターは15cmの屈折望遠鏡がドームに入っていて今なら木星と土星がよく見えることでしょう。宵の口までは晴れることを祈ります。予約無しで参加できるようなのでちょっと覗きに行ってこようかと思っています。でも19:00-19:45って短くないですか?しかも今宵の天文薄明の尾張は21時近くですよ。もう少し長くやってもよさそうなものだと思いますね。ともあれ晴れてくれて木星、土星がよく見えることを期待します。土星は衝ですから衝効果も楽しみですね。